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第57回 Feb. 2004
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真の賞賛
先日のワールドカップ予選のオマーン戦。 引き分けは実質の負けと状況のなか、試合はロスタイムへ・・・。 オマーン側の選手は時間稼ぎのため、わざと倒れたりしていた。
中田のもとへボールが渡る。 ゴール前にはオマーンの選手が一人倒れている。 「出すな!」 ある選手が中田に叫ぶ。 どうせ時間稼ぎで倒れているんだから、無視して試合を続けろと言う意味だ。 でも中田はボールをフィールドの外へ蹴り出した。 そして叫んだ選手に詰め寄る。 「倒れてるじゃないか!」
時間稼ぎかもしれないことは十分わかっている。 でももし本当に倒れているんだとしたら・・・。
大事な予選の最初の試合。負けることは許されない。 でも、はっきり言ってしまうと、たかが試合だ。
「試合に勝って勝負に敗れる」という言葉がある。 中田は人間としての勝負に挑んでいる。 ただ勝てばいいとは思っていない。 それでは真の賞賛は得られないからだ。
それはシドニー・オリンピックの柔道決勝を思い出してみればわかる。 誰も金メダルを取ったフランス人選手を賞賛などしない。 逆に「みっともない奴だな」ぐらいにしか思わない。
これは別にスポーツの世界だけの話ではない。 ただ儲かればいいとか、自分さえよければいいという感覚で生きている人ほど惨めなものはない。 人間としての勝負には負けているからだ。 それどころか勝負の土俵にも立っていない。
それでは真の賞賛は得られない。
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