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Phantom's 直言コラム
ジャーナリスト大野
外見も磨け!
モノにこだわれ!
第105回 July 2005
世界一贅沢な人たち

先日あまり好きじゃない(というか嫌いな)街・渋谷に久々に行った。
うちから3つ目の駅なのに、年に一回行くかいかないかといった感じ。
相変わらず、わけのわからない格好の人たちがたくさんいる。
ちゃんと学校行ってるのか余計な心配をしてしまう。

たぶんあの人たちに「ちゃんと学校行けよ」と言っても
「なんで?」と返されるのがオチ。
「ちゃんと学校行って勉強して会社に入って朝から晩まで働いてた俺の親は
リストラされてどうしようもないだぜ。勉強したって意味ないじゃん」

学生時代、イスラエルの遺跡巡りをしていたときのこと。
教授たちと一緒に貸し切りバスで、難民キャンプのそばや、破壊された戦車の横、
挙句の果てには地雷原の中の一本道を通り抜けながらの旅だった。
ある遺跡の場所で、お土産物売りに囲まれてしまい、あれこれお売りつけられそうになった。
「ノー・サンキュー」
そして次の遺跡の場所に着き、見終わって帰ってくると、また囲まれた。
売ってるのもがみんな同じ。
そんな様子を見て教授がボソッとつぶやいた。
「売ってるものも一緒なら、この人たちの顔も一緒に見えるねー」

そしてバスに乗り込み、次の遺跡に向かっている途中、
誰かが不安げに叫んだ。
「なんか後ろから変な車がついて来るぜ!」
ゲッ!盗賊かなんかじゃないの?
でもバスのドライバーは百戦錬磨だから「ドント・ウォーリー」とか言って笑っている。
このオッサン、旅の途中で「いつ戦闘が起こっても大丈夫なように・・・」と自炊一式セットを
自慢げに見せた後、「アトここにはアレが入ってる」とコンパートメントを意味深に指差して
いたから、「まあ、攻撃してきたらちゃんと撃ち返してくれるんじゃない?」と
みんなでヒソヒソ話していた。

結局その怪しい車は次の遺跡まで付いてきた。
オイオイ、あいつらも降りてくるぜ!
と注意深く見ていたら、
教授がハハッと笑顔になってつぶやいた。
「なーんだ、アレ、お土産物売りだ」

「ヘーイ、コレ買って。安くしとくよ!」

どうやら最初の遺跡からターゲットにされて付いてきていたらしい。
その心意気に免じて、何だったか忘れたけど何かを買った。
すごく安いヤツ。
20人近いグループだったけど、買ったのは確か僕だけ。

そしてそこを出発するとき、さすがに彼らも着いてくるのはそこまでだったのか、
みんなで手を振り出した。
やたらとみんなニコニコして満面の笑顔。
改めてよく見ると、数人の大人以外はみんな中高生ぐらい。
なかには子供を抱っこした子もいた。

そんな光景をみたアメリカ人の女の子が一言。
「Oh! みんな手を振ってるわ。私、何も買わなかったのに・・・。」

俺は買ったぜ!と内心思いつつ、たかが一個安いやつを買ったぐらいで
偉そうにするのもどうかと考え直した。

紛争地帯では満足に学びの機会も与えられず、日々の生活のために
本来学校に行くべきの子達がそんな生活を送っている。
そして親・親類・友人が殺されたから相手を憎んで仕返しをするという
憎しみの連鎖が続く。
感情だけで動くし、そんな彼らを利用する人たちもいるから始末に終えない。

それを止められるのは学び以外にはないと思う。

渋谷あたりでボンヤリしてる子達はかわいそうだ。
そんな学びの機会がふんだんにあるのに無駄にしているのだから・・・。
ある意味、世界一贅沢な人たちなのかもしれない。
皮肉をこめて・・・。


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