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AERA 2008年8月18日号
夢のエネルギーとの呼び声高いが・・・
地球を壊すバイオ燃料
温暖化対策の切り札として持てはやされるパイオ燃料。
ところが近年、むレろ二酸化炭素を増やすという「悪玉説」も飛ぴ出して。
ここ数年、注目を集めているパイオ燃料。とりわけトウモロコシを原料とするパイオエタノ−ルは、ガソリンの代替燃料として、世界で増産につぐ増産が続いている。
二酸化炭素(C02)の排出量が石油などの化石燃料に比べて少なく、あたかも万能薬であるかのように礼賛されてきたのだが、ここにきて、このバイオエタノールが、CO2を減らすどころか、逆に増やしているという研究結果が発表された。
今年初め、科学誌『サイエンス』に論文が掲載されたティモシー・サーチンガー氏はこう説明する。
巡りめぐってCO2増加
「従来の研究では、パイオ燃料用の作物を育てる『土地』が忘れられていました。土地には幹や根や土中にCO2が蓄えられていて、森林を伐採し開墾したりすれば、C02が放出され、それが大量のC02増加につながるのです」
米国のエタノール政策は30年以上もさかのぼる。
当初は、単に余ったトウモロコシを処分するための政策だったのだが、結果として、米国中西部で食用の大豆を作っていた農家が、実入りのいいエタノール用トウモロコシ畑に転作し、不足した大豆はブラジルなどの別の国々で埋め合わせする図式になった−というのがサーチンガー氏らの見立てだ。
同氏らは、それら土地の営みを含めた総体で試算。すると、コーンエタノールで自動車を走らせるほうが、ガソリンよりも温室効果ガスの排出量が約2倍になることがわかったという。
一方で、否定的な声ももちろんある。穀物メジャー、カーギル社に36年間勤めたロビン・ジョンソン氏はこう反論する。
南半球の作物収穫量の増大が、米国の政策にだけ起因すると考えるのは議論を単純化しすぎ。他の要素、南アジアや中国の需要増加もそれに拍車をかけていることを忘れてはいけません」
「プラジルなどの自然環境が農地に転換されてしまい、結果、地球温暖化に加担しているというのは、政策的にまったく意図しない結果なのです」
そうした見方に、サーチンガー氏も、米国の政策に悪意はなかったとしたうえでこう話す。
「まず、どのパィオ燃料が本当に総合的に効率がいいかをはっきりさせる必要がある。基本的には、肥沃な土地をバイオ燃料の生産に使用しないことが重要。そうした土地は食糧生産か、森を育てるために使うべきです」
米国では法規制も
07年に米国で成立した「新エネルギー法」はそういう意味では第一歩となるかもしれない。
ワシントン・ポスト紙で農業の取材を続けているダン・モーガン氏はこう解説する。
「この法律は、エタノール生産の埋め合わせのために、ブラジルの熱帯雨林地域を開墾するのであれば、エタノール生産施設を造れないと規定しています」
食糧高騰の要因の一つとされ、さらに、C02減少効果さえも疑問視され始めたバイオ燃料。
北海道洞爺湖サミットでは、バイオ燃料について具体的な議論がなされなかったが、森林伐採などの悪影響をもたらさない、雑草や木材チップなどを利用した第2世代のバイオ燃料の開発・普及が期待されている。
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