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週刊AERA 2008年7月14日号
余命半年の大学教授が伝えた人生の教訓
最後の授業で語った「夢」
ガンで余命半年足らずと告知を受けた教授が最後の講義で選んだテーマは、夢をかなえることの大切さだった。
アメリカの大学では1960年代から、人気教授が「人生最後の授業」と仮定して特別講義をする伝統がある。「人生最後」とは、もちろん「仮定」の話であるが、コンピューターサイエンスやロボット工学の分野で知られているカーネギーメロン大学のランディ・パウシュ教授の場合、それがリアルであった。
全米600万人の目に
2006年9月、当時46歳のパウシュは膵臓ガンの告知を受け、余命半年足らずと宣告された。その1年後の07年9月18日、本当の意味で「最後の授業」を行ったのである。
バーチャルリアリティーの世界的権威として名を馳せるパウシュが最後の講義のテーマとして選んだのはコンピューターの話ではない。「夢を実現すること」だった。いわば人生の教訓である。その講義は録画され、瞬く間にYouTubeで世界中に広まり、一大現象になった。全米で約600万もの人がインターネットで観たのだ。
ウォールストリート・ジャーナル紙のコラムニスト、ジェフリー・ザスローは、400人の聴衆で埋め尽くされた講義を聴いた。その後、パウシュは健康維持のために毎日自転車をこいだが、その間、携帯電話でザスローと53回にわたって話した。いわば講義の続きのようなものだが、それが一冊の遺書とも言うべき本になった。
伝えたい父の人生と愛
それは究極の箴言集と言っても過言ではないが、すべて彼の経験から抽出されたものだから、重みがある、
<配られたカードを変えることはできない。変えられるのは、そのカードでどのようにプレーするかだけだ>
<レンガの壁がそこにあるのには、理由がある。僕たちの行く手を阻むためにあるのではない。その壁の向こうにある「何か」を自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているのだ>
<経験とは、求めていたものを手に入れられなかったときに、手に入るものだ>
<僕は「楽しまない」方法を知らない。僕は死にかけていて、僕は楽しんでいる。残された毎日を楽しんで遇ごすつもりだ。それ以外に人生を生きる方法はないから>
パウシュには1歳、3歳、6歳の子供がいる。パウシュが「最後の授業」を引き受けた最大の理由は、子供たちが成長したときに、父親の人生と愛を知ってほしかったからだ。
今年5月18日、大学の卒業式でゴア元副大統領のスピーチのあと、パウシュが話した。サプライズ・スピーチだった。そこで彼が言った御請託はこうだ。
「情熱を傾けられるものを見つけ、それを追い続けてください。それは決して、お金で買えるものではありません」
つい先日、ザスローに電話して、パウシュの近況を聞いた。
「ほとんど寝たきりであまり話せる状態にありませんが、日本でも本が出版されることは伝えました」
アメリカではすでに280万部のベストセラー。29ヶ国語に翻訳されている。 |
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