黒尾誠・米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター助教授
“不老タンパク質”発見の日本人科学者が「120歳まで生きられる」
(週刊ポスト 2005年9月23日号)


ついに人類は、「不老長寿の薬」を手に入れることができるのか―。

老化を抑制し、寿命を延長する作用のあるタンパク質が発見され、医学会で大きな話題になっている。米テキサス大サウスウェスタン・メディカルセンター助教授の黒尾誠氏らのグループが東京大学、大阪大学、ハーバード大学などとの共同研究で発見したもので、米科学誌『サイエンス』8月26日号で発表した。

黒尾助教授が語る。
「今回の発見で不老長寿の薬を作ることも原理的には可能といえる。今後、心臓病など、加齢とともに起こる様々な生活習慣病について、一括して発症を遅らせたり、症状を軽くすることができるようになるのではないかと考えております」

まさに画期的な発見なのだが、きっかけは、高血圧の研究の際に偶然できた突然変異マウスだった。このマウスは老化が著しく早かったため、その原因を調べたところ、あるタンパク質が不足していることがわかった。「クロトー」と名付けられたこのタンパク質が不足すると、動脈硬化や骨粗しょう症などを発症し、老化が加速されるのだという。

「それで、クロトーに老化を抑制する作用があるのではないかと考えたのです。
それを検証するために、今度は遺伝子操作でクロトーの働きが通常の2〜2・5倍になるマウスを作り、通常のマウスと比較した。その結果、通常のマウスの平均寿命は2歳程度なのですが、遺伝子操作をしたマウスは平均で3歳まで生きた。研究ではクロトーが血糖値が上昇しないように調整するインスリンの働きを抑制していることがわかった。これが長寿につながっているものとみている。

マウスの3歳は、人間でいうと120歳ぐらいの年齢です。誰でもそこまでは老化を遅らせ、寿命を延ばすことが可能になるのではないか」(黒尾助教授)

この研究成果について、『長寿と遺伝子』の著者で、東京都老人総合研究所の白樺卓二氏(医学博士)も、こう評価する。
「近年、老化の研究が盛んになり、老化のメカニズムや老化を左右する遺伝子の存在などはわかっていた。ところが、その遺伝子を操作することで、逆に寿命が延びるという結果はまったく得られてなかったのです。
黒尾教授らの研究で、寿命が延びる例が実証されましたが、これははじめてのこと。老化抑制の研究の上で、突破口を開くものです」

すでにクロトーを使って老化を遅らせる薬を開発しようとしている製薬会社もあるという。

有史以来の人類の願いが叶う日が来るのか?

 
 
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