マット・ホワイトクロス/Matt Whitecross
「グアンタナモ、僕たちが見た真実」の監督が語る
間違っているアメリカの大義

(月刊PLAYBOY 2007年2月号)


ある日、友人たちとバーで飲んでいるときに、共同監督のマイク(マイケル・ウィンターボトム)が、突然、グアンタナモの映画を作らないかって話を持ちかけてきたんだ。僕は軽く、やろうと答えたんだけど、実は冗談だと思ってた。でも、それが本気だとわかって、驚いたよ。それは間違いなく僕にとってドリーム・プロジェクトだから。マイクは、働くことに骨身を惜しまない性格だから、計画はとんとん拍子に進んだ。まず、グアンタナモの収容所に入れられた3人に話を聞くために、自分が生まれ育ったオックスフォードで一軒家を借り、1ヶ月間共同生活をしたんだ。午前中の3時間を尋問(?)にあて、洗いざらい聞いた。すぐに胸襟を開いてくれたよ。彼らには心から感謝したいね。ただ、ときどき作ってくれた料理があまりにも辛いのには気絶しそうになったけれど(笑)。

製作はぎりぎりまでかかった。その甲斐あって、2006年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞できた。これまで経験したことのない充実感と達成感を覚えたよ。完全なドキュメンタリーにするにはタイムトンネルがなければ無理だけれど、本人に映画の中で語ってもらうことで、事実に基づいた映画であることをアピールできたんじゃないかな。2001年に起きた同時多発テロ事件で世界から同情を集め、それにつけ込んでアメリカが独走したことはやはり間違っている。世界は今、危険に満ちているけれど、それは一方にテロリズム、もう一方にアメリカという両極端が存在しているからだ。世界は白黒というふうに、単純に分けることはできないし、アメリカは自分がやっていることは正しいと思っているんだろうけれど、世界はそう思っていない。アメリカの大義が間違っていることは、グアンタナモの実態をみただけでわかる。この収容所が、一刻も早く閉鎖され、アメリカの対テロ政策が変わることを心から願っているよ。
 
 
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