
国内FXも海外FXもFXで利益を出している以上1年間に得た利益はどのように課税されるかは知っておかなければなりません。
来年の2020年2月17日〜3月16日には確定申告の時期になります。確定申告が始まってから確定申告の準備を始めるでは遅く追徴課税や重加算税などを取られてしまえばせっかく海外FXで得た利益もなくなってしまい元も子もありません。
多くの方が税金をなるべく払わないようにとあれこれと手を使っていますがFXを始めた以上、利益が出た出ていないに関わらず、確定申告の義務が発生します。
「今年は損しかしてないから」といった場合でも確定申告するメリットがありますので海外FXを利用している人たちへ、確定申告とは何か、確定申告をするメリット、その他にも節税方法もご紹介していきますので是非最後までお読みください。
目次
FXの確定申告について
FXの確定申告の方法は国内FX業者を利用している人と海外FX業者を利用している人で異なります。
また国内FX業者を利用している人にはそれ相応のメリットもあり、海外FX業者を利用している人にはそれ相応の節税方法もあります。
また確定申告は利益が出た場合と損失が出た場合によっても変わります
国内FX業者は申告分離課税
国内FX業者で得た利益は雑所得としての扱いになるので申告分離課税が課されます。
雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
国内FXの場合は申告分離課税が適用されますので一律20.315%の税率になります。
一律20.315%ですので国内FX業者を利用して10万円稼いだ人も、10億円稼いだ人も税率は同じになります。
住民税:5%
復興特別所得税 0.315%
2011年の東日本大震災の時から2037年12月31日までに関しては0.315%が追加で税金がかかります。
また株とは違って「特定口座」の開設はFXにはありませんので、利益が出た場合は確定申告の必要が出てきます。
国内FXで確定申告が必要な人と必要な人でない人
国内FXの損益を確定申告する場合について細かくご説明していきます。
以下の場合に当てはまる場合に関しては確定申告の義務が発生します。
2. 給与所得が2000万円未満で、雑所得が年間20万円を超えている人。
3. 給与所得がなくて、雑所得の合計が38万円を超える人。
4. 公的年金等の収入金額が400万円以下の千鈞生活者のうち、雑所得が年間20万円を超える人。
給与所得者の方で普通に暮らしていればほとんどの人は確定申告は必要ありません。
上記は確定申告が必要な人についてまとめましたが、確定申告が必要でない人は
・何も副業をやっていない人
・給与所得が年間2000万円の人
この両方に当てはまる方は確定申告の必要はありません。
しかし、普段働いており給与所得を得ている人で副業で年間利益が20万円以上のかたは年収が2000万円以下の場合でも確定申告をする必要があります。
その他にもフリーターや専業トレーダーので年間利益が38万円以上の場合は、申告の必要があると言うことになります。
フリーターや専業トレーダーでFXを行う人で年間利益が38万円以上の人の方が多いと思いますので国内FXをしている限り基本的には確定申告が必要だと考えておいてください。
また、一つ注意点として国内FXは雑所得扱いですので株式投資や転売などの他の副業での利益も含んだ上で給与所得者は年間20万円以上、非給与所得者は年間38万円以上の所得で確定申告が必要になることは覚えておいてくださいね。
国内FXの税金の節税方法は?
他の金融商品と損益通算
国内FXの税金の節税方法として真っ先に挙げられることはFX関連の金融商品と損益通算をすることが挙げられます。
商品先物
CFD
バイナリーオプション
などなど
たとえばFXで利益が5万円出ていて、日経225で損失が10万円出ていた場合、年間でトータルするとマイナス5万円となりますので、確定申告をすることで3年間の繰越控除を受けることができます。
ただし注意点として、株取引との損益通算はできないと言う点です。FXの取引に関しては、「先物取引に関わる雑所得等」という扱いになりますので、株との損益通算はできません。
3年間の損失繰越
海外FX業者を利用している人はできませんが、国内FX業者を利用している場合、損失の繰越をすることができます。
損失の繰越控除とは、本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度です。
上場株式等の譲渡により発生した損失は、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」として、損失を出した年の翌年以後、最長3年間繰越して、翌年以後の上場株式等の譲渡益から控除することができます。また、「上場株式等の配当所得」との損益通算も可能です。なお、2016年からは、公社債等の譲渡・償還により発生した損失も翌年以後最長3年間繰り越すことができるようになりました。
損失の繰越というのはつまり、「昨年出してしまった損失と今年の利益を相殺すること」になります。
つまり今年赤字を出してしまっても向こう3年間で得た利益と損益を相殺することができます。
もし今年のFX利益がマイナスだった場合には来年からの3年間は利益と相殺できるので税金のことを考えずトレードすることができます。
海外FX業者の税金は?
海外FX証券会社の場合は、国内FX証券会社同じ雑所得の扱いとはなりますが申告分離課税ではなく総合課税扱いになりますので累進課税制度がとられます。
総合課税とは、他の所得と合算して税金を計算する制度です。
株式の配当金、投資信託の分配金・解約差益・償還差益は配当所得として他の所得と分離して源泉徴収されますが、確定申告により総合課税とすることもできます。
総合課税ですので、給与所得に応じて15%〜55%の税率がかかってきます。
所得金額と税率をわかりやすくまとめたグラフを用意しました。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額(円) |
195万円以下 | 5% | 0 |
196万円以上330万円以下 | 10% | 97,500 |
331万円以上695万円以下 | 20% | 427,500 |
696万円以上900万円以下 | 23% | 636,000 |
901万円以上1800万円以下 | 33% | 1,536,000 |
1801万円以上4000万円以下 | 40% | 2,796,000 |
4001万以上 | 45% | 4,796,000 |
また総合課税になりますので、国内FXや国内の商品先物取引での損益と通算することができません。
余談ですが、仮想通貨の取引に関しても総合課税になりますので、所得に応じて課税金額が変動します。
累進課税の間違った認識
累進課税と聞くと多くの方が自分の所得に上記の税率を掛けていますがそれは大きな誤認識です。
日本では超過累進税率方式を採用しているため、段階的にその段階での税率が課されます。
つまり海外FXや給与所得が年間合計901万円だからと言って33%の税率が課されるわけではないということです。
また、控除金額や損益通算、一部経費計上できるものがあればより課税対象金額は小さくなります。
年収が901万円の場合
課税対象金額:7,474,000円
〜195万円までは5%(97,500円)
〜330万円までは15%(202,500円)
〜695万円までは23%(839,500円)
〜745万円までは33%(165,000円)
合計:1,304,500円
海外FXの節税方法
海外FXで得た利益は国内FXで生じた損失と損益通算することができません。
また国内の商品先物取引とも損益通算することはできませんし3年間の繰越もできません。
海外FXは金融庁から圧力がかかっているのは業者だけでなく税金に対しても国内FXよりも厳しくなっているのは事実です。
しかし海外FXにも節税する方法はいくつかありますのでいますぐ自分で取り組めるものからご紹介していきます。
損益通算をすること
まず第一に挙げられることは、海外FXで得た利益と損益通算できるものがないかを確認しましょう。
先ほど国内FXや国内商品先物取引での損益との損益通算はできないとお伝えしましたが、海外FXの損益にも損益通算できるものがあります。
海外のバイナリーオプション取引での損失
仮想通貨取引での損失
ネット転売での損失
他の海外FX業者で発生した損失は損益通算をすることができます。
例えば、
XMで100万円の利益
TitanFXで50万円の損失
の場合は損益通算をすることによって50万円に対してのみ課税されます。
しかし、海外FXの場合国内FXとは異なりその年で生じた損益のみを相殺することができるので1年以上前の損失とは損益通算することはできません。
したがって他の海外FX業者を利用して損失が出ている場合には損益通算をすることをおすすめします。
経費計上しましょう
海外FXでは損益通算できるものが非常に少なくなっています。
したがってできるものは全て経費計上することをおすすめします、
・FXなどの為替セミナーでの勉強代
・FX関連勉強会参加費
・セミナー会場までの交通費
は基本的に経費計上することができます。
しかしFX関連の書籍やセミナー代、交通費などは領収書などを持っていることが前提です。
何故ならば最初に経費として申請したとしてもその後5年間はいつ税務署が聞き直してくるかがわからないですし、もし聞かれた時に客観的な日時がなければいつの領収書かも疑わしくなってしまいます。
・インターネット代金(プロバイダ契約など)
・いす、デスク、棚、充電器、マウス、照明代などのトレードに必要な機材の料金
・海外FX取引を行うための部屋の賃料
なども一部経費計上することが可能です。
しかし全額というわけではなくあくまでもFX取引に使っている分のみ経費計上できます。
またこの場合にも、毎日何時間は取引しているか、どれだけの利用をしているかという客観的な数字は確保しておいたほうがいいでしょう。
・勉強のための旅行費など
・セミナーで利用するためのスーツ代
上記2つに関しては経費として認められるかどうかは曖昧なところではあります。
したがって一応経費申請をしてみてダメなら税金を払いましょう。
後ほど解説しますが、税金をどのように誤魔化そうかに頭を使うだけ無駄ですし、最悪の場合脱税として逮捕されてしまえばそれこそ時間もお金も損失となってしまいます。
経費計上する上での注意点
経費計上することは何も問題がありませんが、海外FXで上がった利益に対して注意しなければならないこととして
「全てが計上できるとは限らない」ということです。
様々な理由はありますが税務署からの回答でよくあるのは
「その結果として利益が上がったと証明してください」
と言われることがほとんどのようですので、基本的には経費計上することができないと思った方がいいです。
また、10万円以下でパソコンのパーツを購入して組み立てれば1年で減価償却ができると考える方もいますが、
パーツもパソコンの一部として扱われるため合計が10万円を超えてしまうと減価償却ができなくなるので注意してください
経費として申告する際には、レシート等がある場合には何のための支出なのかがわかるようにしておくことが重要です。また5年間は税務署にいつ再確認されてもいいように保存しておきましょう。
ECN口座の利用手数料
意外と認知されていないのがECN口座での取引手数料が経費として計上することができるという点です。
国内FXはほとんどないですが、海外FX業者を利用する場合には口座タイプが大きく分けて2つあります。
1つ目がSTP方式でもう1つがECN方式を採用している口座です。
ECN方式では海外FX業者を通じて市場に直接アクセスをすることができるためスプレッドが国内FX業者と同等なくらい狭くなっていますが、別途取引手数料(外付け手数料)がかかります。
これは取引の際にかかったコストですので経費として計上することができます。
実際にはこの外付け手数料が引かれた分が損益として課税される金額になっているため特別な手続きは必要ありませんが、STP方式を採用している口座を利用している人よりも節税対策となります。
STP方式の口座は取引手数料が明確ではないため経費計上することはできません。トレードスタイルにもよりますが、スキャルピングで一定の利幅を取ることができるトレーダーさんはECN口座を利用したほうが税金面でも有利になるでしょう。
ふるさと納税で控除金額を増やす
意外に知られていないのですが、ふるさと納税を収めると控除金額が増えるため課税対象金額も減らすことができます。
ふるさと納税は地方自治体に収めるとその地方の特産物が届くため、ただ税金を納めるくらいであれば何か返ってくるふるさと納税を利用するのも一つの手立てになるでしょう。
もちろんふるさと納税で控除される金額には上限がありますのでいくらでも控除されるとは思わないでくださいね。
法人口座を作ること
海外FXを個人口座(個人の名義)でやっている人は法人口座(会社を立てて法人名義)にして行うこともおすすめします。
法人口座は800万円以上の利益に対して海外FXだとしても税率が一律25%しかかかりません。個人の場合には最大で55%かかってしまうわけですから個人口座よりも法人口座で海外FXに臨んだ方がお得になります。
また個人口座よりも経費計上できる幅が広がりますので経費計上で多く落とすこともできます。
しかし法人口座には2つのデメリットがあります
法人口座のデメリット1:手続きが面倒
すでに法人口座をお持ちであれば1から法人を作ることもありませんが、まだ法人を持っていないという方であれば最短でも2週間ほどの時間は必要になります。
また法人口座を海外FX業者に登録する場合には個人口座と比べて手続きが非常に面倒になっています。
海外FX業者によって提出しなければならない書類というのはバラバラですが、基本的には会社の登記簿謄本や定款などの他にも代表者の身分証明書や住所証明書なども登録しなければなりません。
これら書類を登録するだけであれば税金面を考慮する場合まだやる価値はあるのですが、海外FX業者の中には全て英語でのやりとりになる可能性が非常に高いです。
つまり一度ダメ出しをくらってしまえばその後は英語で対応していく必要があり、法人口座情報を登録する前に心が折れてしまうこともあります。
法人口座のデメリット2:場合によっては個人口座よりも課税金額が高くなってしまう
海外FXにおいて法人口座で取引することは節税のメリットにもなりますが、一定の利益を出さないと下手すると個人口座でやった場合よりも税金が高くなってしまいます。
一定の金額を一定の期間だし続けることができ、今後も出すことが見込める方は法人口座を作るメリットはありますが、そうでなければ特に法人口座に変える必要もないでしょう。
海外移住をすること
海外FXで得た利益は経費や損益通算、法人口座でいくら節税しても限界があります。
したがって年間数千万円の利益を上げるような場合には海外移住をすることで上記のような経費計上や損益通算以上の節税効果を得られる場合があります。
しかし、税金をいくら納めてもいいから日本に住んでいたいという方やそこまでする必要性のない方もいると思います。
また家族や恋人、友人など税金以前に考えるべきものも多くあると思いますのでこれは本当に一部の人間に対しては海外移住という手も考えてみてもいいかもしれませんね。
確定申告をしなくてもバレない方法はあるのか
確定申告をしなくても結局税務署も来ないしバレないから大丈夫だと思っている人は意外にも多いようです。
しかしこの事実ではなく”想定”で痛い目を見ている人は非常に多くいます。では、海外FXで得た利益の確定申告をしなかった場合どうなるのでしょうか?
延滞税
延滞税は納税期間内に納税しなかった人にかけられる税金です。
海外FXで得た利益を確定申告を期間内にしていたからといって税金を期間内に納めていなければ延滞税がかけられます。また納期が遅れれば遅れるほど多くの延滞税が課されることになります。2ヶ月以内であれば7.3%ですがそれ以上遅れるようであれば最大で14.6%もの税率がかけられます。
しかし実際この税率になることはなく毎年財務大臣が指定する特例基準割合により計算した税率と2ヶ月以内であれば7.3%、それ以上であれば14.6%のどちらか低い税率を用いて延滞税を計算します。
2ヶ月以内の延滞税
7.3% or 9%(特例基準割合)
2ヶ月以上の延滞税
14.6%or 9%(特例基準割合)
となるため確定申告をしたからといって安心はしないで納税するまでしっかりしましょう。
無申告加算税
無申告加算税は延滞税とは違い、申告期限までに申告しなかった罰金として支払う税金になります。もし期限内に海外FXで得た利益を申告していない場合は必ず税務署から指摘を受ける前に確定申告しに行きましょう。
なぜなら税務署から指摘を受けて申告する場合には収める所得税が50万円までの部分には15%、50万円より多い分に関しては20%の無申告加算税が課されます。
100万円を無申告だった場合には
7万5千円
10万円
合計:175,000円
の税率が追加で課されます。
重加算税
重加算税は所得に関して悪質な隠蔽があり脱税行為を試みたと判断された場合に課されます。これは逮捕の次に重い罰金で、無申告加算税や延滞税よりもはるかに重くなります。
それまでに申告していた場合には35%、無申告の場合には40%ものペナルティとして罰金が課されます。
また、重加算税として請求されるのは無申告だった場合だけではありません。
申告したにもかかわらず、わざと申告する際に少ない金額を記入したりした場合も悪質だと認められれば刑事罰などのペナルティもあります。
脱税として認定される
脱税だとして認定されると基本的に10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、最悪の場合にはその両方が課せられます
ここで注意して欲しいことは
脱税として認定されたとしたら上記の延滞税や加算税などとの罰金とは別に科せられるということです。
発覚や立件された場合の不利益は非常に大きくなりますので脱税だけはやめましょう。
海外FXで得た利益を確定申告をしてこなかった場合
海外FXで得た利益を確定してこなかった場合はどうなるのでしょうか。
先ほど確定申告をしなかった場合どうなるかというのを解説しましたが、意図的にではないにせよ海外FXで上がった利益を申告していない場合には逮捕されてしまうのでしょうか。
確定申告をしていなかった場合には無申告扱いとなります。
もしまだ税務署から通知が来ていなければ自分から確定申告をしに行きましょう。
なぜなら先ほどは税務署から通知が来た場合には15〜20%の税率が課されるとお伝えしましたが、自分から申告する場合には収める所得金額にかかわらず5%で済むからです。
まとめ
国内証券会社の場合は「雑所得」「申告分離課税」となり、税率は20.315%です。
海外証券会社の場合は「雑所得」「総合課税」となり、税率は15〜55%で変動します。
経費については必要性が認められたものは経費となりますが、「基的には経費計上は難しい」 ということになります。
損益通算や経費計上をする場合には支払う覚悟で臨み、もしもできたのであればラッキーくらいに思うことをお勧めします。
間違っても税務署を誤魔化そうという姿勢はやめてください。
そのようなことに頭を使うくらいであればトレードの勉強をした方がいいですし、最悪の場合逮捕となりそれこそ機会損失となるからです。